【個人事業主は必見!】事業承継で発生する税金とは?節税方法まで税理士が解説します
個人事業を行っている経営者が、事業を承継する場合、発生する税金や税金を抑える方法について解説します。
個人事業主が事業を後継者に承継する場合は、事業用資産・負債を後継者に移す必要があります。
その移し方によって、税金の種類が異なります。
目次
各税金ごとの対応方法
相続税
経営者の死後に事業用資産を承継する場合は、相続税がかかります。
相続で承継するパターンは、後継者が親族の場合が圧倒的に多いです。
相続のタイミングまで待って、事業用資産を移すことは、あまりおすすめしません。
生前贈与を活用することで、節税対策にもなります。
また、相続のタイミングまで待って事業用資産を移す場合は、法的に有効な遺言書を作成し、後継者に事業に必要な資産が移せるようにしておきましょう。
贈与税
親子間で事業を承継する場合は、贈与が一般的な方法になります。
贈与とは無償で資産を譲渡する方法になります。
具体的な計算方法としては、「事業用資産」から「事業用債務」を差し引きします。
この差額が110万円以下となれば贈与税は発生しません。資
産額と比べて債務額が大きいほど、差引額は小さくなりますから贈与税が発生しないまたは少なくなる可能性が高くなります。
差額が110万円を超えた場合、この差額から110万円を引いた額が課税価格と呼ばれ、これによって贈与税の額を計算するための税率が決まります。
贈与税の税率は、相続税に税率より高くなります。
そのため、前述した通り、相続とうまく組み合わせて行うと節税対策としても有効です。
所得税
事業承継を売却で行う場合、所得税が発生します。
後継者が第三者の場合、一般的にこの方法がとられます。
売却価格から必要経費を差し引いた譲渡所得に対して課税されます。
売却側が支払う税金であって、事業主は、その他の所得と併せて申告することになります。
個人事業主の事業承継における節税対策
1.個人版事業承継税制の活用
「事業承継税制」とは元々、事業承継の際に発生する贈与税や相続税の支払いについて猶予・免除が受けられる制度です。
これまで法人のみ対象だったものが、2019年からは個人事業主にも適用範囲が広げられました。
詳しくは下記のコラムを参照
【税理士が解説!】事業承継を円滑にすすめる「事業承継税制」とは?
2.小規模宅地の特例
個人が事業用に使っていた一定の土地については400㎡までは80%を課税価額から減額できる特例があります。
この制度を利用すれば、相続人の事業継続に必要な宅地だけでなく、生活に必要な宅地に対する課税も軽減できます。
詳細は、国税庁のページをご参照ください。
3.法人化
事業承継は、手続き的な面で、法人化したほうが、やりやすいといえます。
なぜなら、個人事業主の場合、承継後に取引先との契約について変更する必要がありますが、法人の場合は、承継後も代表が変わるだけで法人格はかわりませんので、変更は不要です。
同様のことが、許認可を再申請や、会社の口座変更などでも言えます。
まとめ
中小企業庁の公表した「事業承継ガイドライン」でも記載されている通り、後継者を決めてから事業承継が完了するまでの後継者への移行期間(後継者 の育成期間を含む)は、3 年以上を要する割合が半数を上回り、10 年以上を要 する割合も少なくないです。
平均引退年齢が 70 歳前後であることを踏ま えると、概ね 60 歳頃には事業承継に向けた準備に着手することが望 ましいでしょうう。
既に 60 歳を超えている場合には速やかに身近な支援機関に相談すべき であり、特に 70 歳を超えている場合にはすぐにでも事業承継に向けた準備に着 手すべきです。
事業承継に向けた準備を先延ばしにすることで、例えば、後継者・譲受側の選定に時間をかけるなど、時間的余裕があれば採り得た選択肢が 徐々に失われていくことも踏まえ、早めに事業承継に向けた準備を行う必要があります。