廃業(清算)を決める前に検討したい、M&Aとの比較
会社の廃業(清算)を考えたときにM&Aという選択肢を検討せずに、そのまま会社を閉じてしまうケースをよく見かけます。
特に中小企業の場合は、M&Aという選択肢をとることで、廃業と比較して手元に多くの資産が残ることはないと決めつけ、比較検討せずにそのまま廃業を決めてしまうケースがよくあります。
目次
廃業する企業の中には優良企業も存在する
廃業とは「会社が自主的に営業や事業をやめる」ことであり、「会社が債務超過に陥り経営が困難になった状態のときに行う、清算を目的とした債務整理手段」である破産や、「経営状態の悪化により事業の存続が困難な状態」である倒産とはことなり、経営状態が悪化してるわけではない企業がほとんどです。
実際、日本政策金融公庫の「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」によると、後継者がいなくて廃業を考えている会社の中には、競合する他社と比べて業績が「良い」または「やや良い」とされる企業が約3割も存在することがわかっています。
廃業(清算)にかかる費用は安くない
会社の廃業の際にかかる法務費用は、一般的に7-8万円前後です。ただし、その他に、廃業に係る手続きを専門家に依頼した場合の手数料、オフィスを賃貸していた場合は、現状回復費用、さらに機械設備、原料などの処分費用等がかかる可能性があります。資産を処分する場合、「清算(処分)価格」ということで、評価が低くなってしまうことが一般的です。
廃業のメリット、デメリット
【メリット】
決断してから比較的スムーズに会社を終わらせられる
処分した資産で負債を弁済できた場合、一定の資産を手元に残せる可能性がある
【デメリット】
従業員の雇用、取引先のと関係を維持できない
処分した資産で負債をまかなえきれない場合、経営者個人に負債が残る可能性がある
廃業を回避できるM&A、メリット、デメリット
【メリット】
従業員の雇用、取引先のと関係を維持できる
会社の純資産に営業権を付けた価格で取引されるので、手元に資産が残りやすい
経営者が個人の債務保証や担保提供から解放される
【デメリット】
買い手探しに時間がかかった場合、経営者がすぐに会社をやめられない
通常、自らM&Aの手続きをすることが難しく、専門家を利用しなくてはならない
M&Aによる専門家の利用の勧め、よくある質問
M&Aによる専門家を利用する場合、仲介手数料として成功報酬を支払場合が多く、レーマン方式で計算されることが多いです。
>>詳しくは【税理士が解説】M&Aの費用相場を分かりやすくご紹介!を参照
専門家を利用しなくても、M&Aはできますが、個人のネットワークの中だけで買収先を探すとなると、かなり限られた選択肢となってしまいがちであり、税務、法務等の知識が複合的に必要になるため個人の力量では限界があります。専門家ですら、M&Aは多角的な知識が必要になるので、個人プレーれはなくチームで対応するのが一般的です。
まとめ
上記M&Aに係るメリット、デメリットを説明するとよくある質問として、「M&Aをして手元に資産が残ってもそこから専門家の仲介手数料を支払ったら、手元に資産なんて残らないよね」聞かれることがあります。もちろん、残余財産が仲介手数料より少ない場合は、そうなりますが、通常専門家が、M&Aによりいくら手元に資産が残るかを試算する場合、仲介手数料や税金を考慮して計算するのが一般的です。売却代金から仲介手数料を支払い残りが経営者にいくという構図になります。
廃業を選択する前に、一度M&Aを検討して頂き、弊社にご相談頂ければと思います。