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【税理士が解説!】事業承継を円滑にすすめる「事業承継税制」とは?

事業承継を円滑にすすめる「事業承継税制」サムネイル

多くの人が「事業承継税制」という言葉を耳にしたことがあるとは思います。

しかし、いまいち内容がわからないという人も多いはず。
それも、そのはず。「事業承継税制」は、円滑化法に基づく認定のもと、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度であり、理解するには、税務の知識が必要になってきます。

また、「事業承継税制」は、法人(会社)向けの税制であり、個人事業主には適用できないと思っている方もいるようですが、当該税制には、会社の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります。

 

法人版事業承継税制のポイント

●承継時の贈与税、相続税を負担することなく、自社株を承継することが可能

特例承継計画を提出することで、自社株にかかる贈与税、相続税の承継時の納税を全額猶予、一定の要件を満たせば、猶予納税を免除

  • ●親族外を含む複数の株主から代表者である後継者(最大3人)への承継が対象
  • 特例承継計画の提出が必要

●後継者の氏名や事業承継の予定時期、承継までの経営見通し等を記載 (国が認定した税理士等の士業、金融機関、商工会議所等の指導、 助言が必要)

  • ※特例承継計画の提出期限は2026年3月31日まで 2018年1月1日から2027年12月31日までの贈与・相続が対象

 

個人版事業承継税制のポイント

  • ●承継時の贈与税、相続税を負担することなく、特定事業用資産を承継することが可能
  • ●個人事業承継計画を提出することで、特定事業用資産にかかる贈与税、相続税の承継時の納税を全額猶予、一定の要件を満たせば、猶予納税を免除
  • ●多様な事業用資産が対象

この制度の対象となる「特定事業用資産」とは、先代事業者(贈与者・被相続人)の事業 の用に供されていた次の資産で、贈与又は相続等の日の属する年の前年分の事業所得に係る 青色申告書の貸借対照表に計上されていたものをいいます。

① 宅地等(400㎡まで)

② 建物(床面積800㎡まで)

③ ②以外の減価償却資産で次のもの ・ 固定資産税の課税対象とされているもの ・ 自動車税・軽自動車税の営業用の標準税率が適用されるもの ・ その他一定のもの(一定の貨物運送用及び乗用自動車、乳牛・果樹等の生物、特許権 等の無形固定資産)

  • ●個人事業承継計画の提出が必要

後継者の氏名や事業承継の予定時期、承継までの経営見通し等を記載 (国が認定した税理士等の士業、金融機関、商工会議所等の指導、 助言が必要)

  • 個人事業承継計画の提出期限は2026年3月31日まで 2019年1月1日から2028年12月31日のまでの贈与・相続が対象

 

事業承継税制のメリット、デメリット

<メリット>

多額の相続税、贈与税を支払わないでいい

 

<デメリット>

●納税猶予期間中は、3年ごとに「継続届出 書」に一定の書類を添付して所轄の税務署へ提出する必要がある
●取り消し事由に該当した場合、猶予されていた税金に加えて利息を払う必要がある
●他の税制と併用して、当該税制を適用する場合、計算が複雑になる。

 

とにかく、当該税制のメリットは、相続税、贈与税を支払わないでいいことです。ただ、承継計画の提出や、その後の3年ごとの継続届出 書の提出など、提出書類が多く、また長期間にわたります。うっかり継続届出 書の提出を忘れてしまった場合、猶予されて いる贈与税の全額と利子税を納付する必要がありますので、長期間にわたるスケジュール管理が必須です。

また、デメリットでも挙げた通り、他の税制と併用する場合は(小規模宅地の特例の特例に適用を受ける場合など)、計算が複雑になったり、他の税制と比較検討した場合(相続時精算課税制度等)は、より幅広い専門的な知識が必要になってきます。一度専門家に相談して、話を聞いてみることをお勧めします。


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