事業承継はなぜ問題になっているのか
①高齢化社会、少子化の問題
我が国の総人口は、2021年10月1日時点 で1億2,550万人となっています。
年少人口 (0~14歳)、生産年齢人口(15~64歳)、65 歳以上人口は、それぞれ1,478万人、7,450万 人、3,621万人となっており、総人口に占める割合は、それぞれ11.8%、59.4%、28.9% となっています。
このうち、生産年齢人口と言われる総人口に占める割合は、少子化の影響もあり今後減少し、65歳以上の人口が増加することになります。
2060年には、65歳以上の人口が総人口の38%以上となる世界的にもまれにみるハイスピードで超高齢化社会に突入していきます。
この現状が日本経済支える中小企業に与える影響も深刻であり、近年経営者の高齢化が進行する一方で、後継者の確保が困難になっています。
2019年には中小企業の経営者の平均年齢は62.16歳まで上昇しており、引退予想年齢67歳との間に5年しかありません。
5年もあれば大丈夫だと思う経営者もいるかもしれません。
ただ、厳しいことを言うようですが、男性の生存率は60歳を境に急激に降下していきます。
この現状をまのあたりにしても、残り5年は今後の経営を考える上で、確実に残された十分な時間といえるでしょうか。
②親族内承継が困難
30年以上前は、同族会社が多い中小企業では、親族内承継が主流だったかもしれません。
「子供が当然に家業を継ぐべき」という考えがありましたが、近年、子供が事業を承継する割合は20年前の半分になっており、後継者がすでに決まっている会社は企業全体の43%となっております。
また、経済産業省の調べによると10年間で60万社が、黒字倒産の危機にあるとのことです。
③事業承継のことを考えたくない
経営者自身が、事業承継のことを考えたくないという心理があり、潜在的に先送りしているケースです。
理由は様々ですが
「1、仕事が生きがいであり、自分が会社で絶対であり、社長業を失いたくない」
「2.引退のことなど考えたくない(引退の話をされると年寄り扱いされているようで不快)」
「3.事業承継に何から取り組めばいいかわからない、いまいち事業承継自体がわからない」
が主な理由かと思います。
特に会社に重要な承継問題について会社の社長は、誰にも相談できず孤独です。
現在多くの業者が事業承継に取り組んでいますが、突然現れた第三者に事業承継について相談するのは、信頼面からいってもむずかしいでしょう。
できれば、会社を理解してくれて、ずっと伴走してくれる人に相談したいものです。
資料:内閣府 少子化社会対策白書、中小企業庁 事業承継ガイドライン